
骨粗しょう症と食事について
前回のコラムでは、骨が脆くなり骨折しやすくなる骨粗しょう症という病気と、その予防には日ごろの運動が大切であることをご紹介しました。そして、骨粗しょう症の予防には、運動だけでなく食事も非常に重要であることをご存じでしょうか?
今回のコラムは、骨粗しょう症を食事の面から予防するために最も重要といえる「骨を作る3つの栄養素」と、その栄養素が含まれた食材の具体例をご紹介した上で、摂り過ぎに注意すべき食品についてもお伝えさせていただきます。
骨に必要な3つの栄養素が含まれた食品とは
それでは、骨を作る3つの栄養素をご紹介します。それは、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKです。カルシウムが骨を強くすることは有名かもしれませんが、残りのビタミンDとビタミンKについては、知らなかった方や、どのように摂取すれば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで、栄養素が含まれる主要な食品例を順にご説明していきます。
①カルシウム
カルシウムは、骨をつくるための主要な栄養素であり、骨粗しょう症の予防や治療には不可欠です。牛乳・チーズなどの乳製品の他、豆腐・納豆などの大豆製品、しそ・小松菜などの野菜類、小魚や海藻といった食品に多く含まれます。
②ビタミンD
ビタミンDは、小腸の中でカルシウムを吸収するために重要な栄養素となっており、カルシウムとあわせて摂取することが骨粗しょう症の予防ためには欠かせないものとなっています。鮭やイワシといった魚介類、シイタケなどのキノコ類に多く含まれています。ビタミンの一種といっても、意外と野菜には含まれていないことが特徴です。
③ビタミンK
ビタミンKは、骨を作る細胞の働きを助けるだけでなく、骨の質を高めるコラーゲンを増加させる働きや、骨を破壊する細胞の働きを抑制する効果があります。主要な食品としては、納豆、小松菜、ブロッコリー、キャベツなどが挙げられます。
☆骨粗しょう症の予防に理想的な献立とは
例えば、納豆・小松菜とひじきの和え物・焼き鮭・味噌汁といった献立であれば、ご紹介した3つの栄養素をバランスよく摂取できる理想的な食事と言えます。
カルシウムとビタミンKを含んだ納豆と小松菜に、ビタミンKを含んだ焼き鮭、そして味噌汁には大豆はもちろん健康に重要なたんぱく質も含まれています。
過剰に摂取しない方がいい食品とは
次に、摂り過ぎには注意すべき栄養素をご紹介していきます。もし、毎日口にしているものや、1日に何度も摂取しているものがあれば、頻度を落としたり量を少なくする工夫をすることで、骨粗しょう症を予防しましょう。
①リン
リンを過剰に摂取してしまうと、カルシウムの吸収を妨げると言われています。
食品例としては、インスタント菓子、スナック菓子、清涼飲料水、蒲鉾といったものが当てはまります。
②カフェイン
カフェインも同様にカルシウムの吸収を阻害してしまいます。コーヒーや紅茶を飲むこと自体は問題ではありませんが、1日に何杯も飲むことが習慣になっている方は頻度を減らすようにしてみましょう。
③ナトリウム
ナトリウムは食塩に多く含まれており、普段から塩分を過多に摂取しているカルシウムが尿で排泄されやすくなってしまいます。健康のために、減塩を心掛けることが大切です。
④アルコール
お酒の飲みすぎは、カルシウムの吸収だけでなく、ビタミンDの働きまでも阻害してしまうこととなります。目安として、ビールを1日2杯以上、もしくはウイスキーを週に8杯以上を摂取した場合、骨折率が上昇すると言われています。愛飲家の方は、お酒の量にご注意ください。
まとめ
骨粗しょう症の予防には、運動と同じく食事においても継続して無理なく続けることが非常に重要です。骨粗しょう症の予防のために、日々の運動だけでなく、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKを豊富に摂取することが大切です。そして、スナックの食べ過ぎや塩分の過剰摂取、コーヒー・紅茶やお酒の飲みすぎに気を付けることで、健康な骨を作りましょう!
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次回は、骨粗しょう症の予防に重要なカルシウムについて、より詳しくご紹介します。骨粗しょう症と食生活の関係を正しく理解していただくことで、美味しく健康な食生活のお手伝いが出来れば幸いです!