PRPとは?
PRP(Platelet Rich Plasma;多血小板血漿)とは血液を遠心分離処理し、血小板を凝縮したもので、成長因子など損傷した組織の修復を促す働きを保つ成分が非常に多く含まれています。
PRP療法は、患者さま自身の血液からPRPを抽出したのちに、関節や腱などの患部へ注入する治療法で、MLBの大谷翔平選手が2018年、右肘にPRP療法を行ったことでも知られています。
https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/201806090000308.html
近年、PRPの関節痛に対する効能については多数の医学論文が発表されていて、概ね好意的に捉えられています。また膝関節への注射については、ヒアルロン酸やステロイドに比べて劣らない、または優れた効果が期待できる、とされています。
https://www.esska.org/page/projects
ESSKA ORBIT Consensus.Use of injectable orthobiologics for the treatment of knee osteoarthritis.Part 1: blood-derived products (alias PRP).
日本国内での整形外科領域のPRP療法は近年急速に普及しています。実際、当院の診察でも相談を受けることが増えてきており、この度(2024.1月)導入を決めました。
当院では凍結乾燥(フリーズドライ)処理を行ったPRP-FD(凍結乾燥PRP)を使用いたします。この処理を行うことで治療効果の向上を期待できます。
どんな方が対象となりますか?
- 主な疾患(膝関節):変形性膝関節症、半月板損傷、軟骨損傷、骨壊死など
- お薬やリハビリなどで治療効果の上がらない方
- ヒアルロン酸の注射で良くならない方
- 手術を避けたい方
上記以外についても実施可能な場合がありますが、まずは診察にてご相談を承ります。
PRP療法の長所と短所
- 長所(メリット)
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- 自己修復力を用いているので、自然な形で修復が期待できます。
- 何度でも受けることができます。
- 自己の血液を使用するため、アレルギー反応の可能性が低いと考えられます。
- 短所(デメリット)
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- 自己修復力に依存するため、上手く自己修復プロセスが働かないことがあります。
- ごく稀に、採血部、注入箇所に感染症が起こる可能性があります。
- 社会保険、国民健康保険など医療制度上の保険で受けることはできません。
治療の流れ
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STEP 1
- 診察
- 問診、診察に加え、初診の方は必要に応じ各種画像検査を行います。
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STEP 2
- 採血
- 約50mlの血液を採取いたします。これに加工処理を施し、FD(フリーズドライ)形状にしたものを、患部へ注入いたします。粉末状とすることで、保存期間が長くなることと、効果の増強が期待できます。
加工処理に3週間程度お時間を頂戴します。
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STEP 3
- 注射実施
- 製剤を患部へ注入します。膝関節の場合、1回の採血にて、最大2回までの注射が可能です。
費用
保険が適応されない、自費診療となります。クレジットカードがご利用いただけます。
診察、採血、製剤作成 | 143,000円(税込) |
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注射(1回あたり) | 22,000円(税込) |
※PRP療法以外の保険診療では、クレジットカードはご利用いただけません。
注射後の経過
診察し経過をフォローしていきます。必要な場合はリハビリをおすすめします。
関節痛の治療に、新たな選択肢が加わりました。
従来の方法で効果が上がらない方など、一度ご検討いただいても良いかもしれません。